小野十三郎の詩
久しぶりに小野十三郎の詩を読んだ。ふとしたきっかけで思いだしたので、調べてみた。葉鶏頭をぼきりと折って、それを振りかざして逃げていく・・・たしか、そんな内容の詩、でした。
盗む
小野十三郎
街道沿の畑の中で
葉鶏頭を盗もうと思った
葉鶏頭はたやすくもへし折られた
ぼきりとまことに気持ちのいい音とともに
――そしてしづかな貞淑な秋の陽がみちていた
盗人奴! とどなるものもない
ぼくはむしろその声が聞きたかったのだ
もしそのとき誰かが叫んでくれたら
ぼくはどんなに滑稽に愉快に
頭に葉鶏頭をふりかざして
晩秋の一条街道をかけ出すことが出来ただらう
しかしあまりにたやすく平凡に暢気に
当然すぎる位つまらなく盗んだ葉鶏頭を
ぼくはいま無造作に
この橋の上からなげすてるだろう
(詩集「半分開いた窓」から)
どうしてこの詩を思い出したのだろう? そんなことはどうでもいいか。なんとなくいい。ただ、それだけで、いい。


井川さん、おめでとうございます!
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